アニメ背景の基礎 PR

「流背」の色選びと描き方のポイント

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アニメーションの戦闘シーンや変身シーン、高速で物体が移動しているシーンなどで
使われる流背について

  • どのような基準で色を選んでいるのか?
  • 描くときの注意点は?

こうした疑問について
僕が美術を担当した「とびだせ上越」(許可取得済み)を題材に解説します

これからは、アニメーション業界に就職せずにアニメーション作家として活動したり
イラストレーターが簡単なアニメーションを作る機会がますます増えていくでしょう
この記事が、そういった方々の参考になればと思います

 

流背の種類と色の選び方

僕は流背を以下の2種類に分類しています

1. 背景色を使った流背

「背景色の流背」は、シーンの背景の色を使って描く流背です
例えば、街中や屋外の背景色などを使います

2. イメージ色を使った流背

「イメージ色の流背」は、背景色以外の色を使用する流背です

イメージ色の種類:

  • キャラクターのイメージカラー
    (例:青がメインのキャラなら、青系を使う)

  • キャラを目立たせる色(補色などを活用)

  • 感情や状況を表現する色(復活、絶望、必殺技など)

キャラクターのイメージカラーを基準にする流背について

例えば、キャラクターのイメージカラーが「青」の場合
イメージ色の流背には以下の2択があります。

  1. キャラを目立たせる色を使う

  2. キャラのイメージカラーと同系色を使う

感情・状況を表現する色を使う流背について

  • キャラの「状況」を表現するのか?

  • キャラの「感情」を表現するのか?

  • その手段は「配色」なのか、「タッチ」なのか?
    それとも両方か?

これらを明確に決めておかないと
「何がどうなっていればOKなのか」が曖昧になってしまいます
前もって「何を表現するために」「どんな手段を使うのか」という目的と手段を
しっかり考えておくことが大切です

 

背景色の流背の色選び

背景色を使った流背では、シーンの背景(街中や室内など)の色を使います

注意点:

  • 背景と完全に同じ色を使わない
    →流背にしたときに背景色に見えるような色を選びます
    メリハリがなくなるため、少し彩度を高めるなどの工夫が必要になります

  • 色の明度を4~5段階くらいに抑える
    → 使う色の色相、彩度が近くても問題はありませんが
    明度が近すぎるとメリハリがなくなってしまいます

イメージ流背の色選び

イメージ色を使う場合は
背景色を使う場合と違って自分で色を決める必要があります
僕は以下の2点に気を付けて色を選んでいます

  • 明度は3~4段階
    多くても5段階に抑える(段階が多すぎると、映像がのっぺりしてしまうため)
    混色を避け、ポスターカラーを生色に近い状態で使うことが多いです
  • アクセントとして同系色以外の色も使う
    同系色だけでは色幅が狭くなってしまうので
    同系色以外の色も1色使って変化を付けるようにしています

 

分裂原色を使った色選び

円形の色相環を使うと色が連続的に変化するので
どこからどこまでが同系色か判断することができないので
下図のような分裂原色という考え方を使います

3原色の赤青黄、それぞれの暖色、寒色の2色ずつを使って考えます

例えば上図の青系の流背の場合
「赤っぽい青」と同系色の「赤っぽい青+黒」だけでなく
「黄っぽい青」を使っています

また上図のピンク系の流背では
同系色の「赤っぽい黄」と「黄っぽい赤(ピンク)」だけでなく
「青っぽい赤(マゼンタ)」を使っています

同系色の場合は色相をそれほど変化させることができないので
変化させることができるのは明度と彩度に限られてしまいますが
同系色以外の色を使えば同じような明度、色相、彩度すべてを変化させることができます

 

イメージ流背を描くときの注意点

よくある失敗:

  • 画面中央の明るい部分が単調になる
    スクロールしても、画面が変化しているように見えない

これは、イメージ流背を描き慣れていない新人時代によくやった失敗です

改善策:

  • 画面中央の明るい部分が一直線にならないように
    変化を付ける

例えば下図で、3つの流背を並べて比較すると
中央の明るい部分が単調な一直線にならないように意識していることが分かると思います

まとめ

アニメの戦闘シーンや変身シーン、高速移動の演出でよく使われる「流背」

「どんな色を使うのか?」「どのように描くのか?」 には
さまざまな工夫があります。

アニメを作らない人でも
「へぇ~、こんなことを考えて描いているんだ!」と
新しい視点でアニメを楽しんでもらえたら嬉しいです