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雲の役割を考える

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絵を描くときに
なんで雲を描くのか?
ということについて考えたことはありますか?

  • 空のパースを説明する
  • 見せたいもののシルエットを強調する

僕は今まで雲について
何となく上記のように考えているだけで
しっかりとした意図をもって描いていませんでした

そこで
今回の記事では
効果的に雲を配置するために
雲を描くときに意識していることを洗い出してみました

すぐに雲の形を上手に描けるようにはなれませんが
配置を意識したり、意味を考えたりするだけ
なら
すぐにでもできます

今まで雲について
深く考えたことがなかったという方には
新しい視点を得るヒントになると思います

パースの説明による視線誘導

200722関屋浜

上図は
地平線に近づくほど筆を水平になるように筆を動かして
空のパース(雲の流れ)を説明しています

下の図は
集中線のように一点に集めるように筆を動かして
雲の流れと焦点を作っています

200722雲のパース2

このように白い部分を残すようにして雲を描くと
筆のストロークで
躍動感のある空全体の流れが表現できます

アニメの「AKIRA」の冒頭シーンや
「ヨルムンガンド」で見事な雲がありました
もし、まだ意識してみたことがないという方は
ぜひ確認してみてください

ちなみに
この画用紙の地を白抜きにして描く雲を
「抜き雲」と呼んでいますが
(むかし先輩が言っていた気がします)

この雲の描き方
絵具で描くとメチャクチャ難しいです

そもそも描く機会がないというのもありますが
アニメ背景歴5年目でも
まったく描けませんでした

シルエット(コントラスト)の強調

下図は、屋根に沿って雲を配置することで
建物のシルエットを強調しています

200729シルエットの強調

おそらく
初めに長屋の左上の屋根部分が目に入り
屋根沿いに右へと目が行くのではないかと思います

では下の図を見比べてみてください200802雲による視線誘導

最初に目が行くのは
左の図は画面中央
右の図は画面左ではないでしょうか

この部分は雲との対比で
コントラストが一番高くなっています

 

アニメ背景会社の新人時代に
「ここに、こういう雲を描くと
建物のシルエットがはっきりしてカッコいい」と
先輩に教えられてテンションが上がりました

「確かにカッコいい、プロっぽい、すぐにでも真似したい」と

僕は雲っぽい形にすることで精一杯で
配置が重要だとは思ってもいなかったので
すぐにできる改善策が魅力的でした

季節の説明

190811アグリコア

入道雲、イワシ雲などを描くことで季節を説明できます

上図の場合
入道雲全体で建物のシルエットを強調しています

白の基準にするため

画像8

雲の部分に真っ白を使うことで
建物に色が付いていることがわかります

もし雲がなければ
白い建物と感じてしまう可能性があります

額縁として使う

画像6

上図左のように
黒い部分に雲を配置して周囲を暗く絞ることで
焦点を中央に寄せています

もし雲を配置していないと
画面の上方にも目が行ってしまいます

まとめ

もし雲を描くことに苦手意識がある人は
ただ何となく雲を描くのではなく
見せたいものを引き立てる手段として
自分で雲に役割を与えてみてください

「雲が上手く描けない」という漠然とした悩みから解放され
具体的な練習や情報収集に移ることができると思います

他にも探せば色々な役割があると思います
自分なりの雲を描く意味を見つけてください

すぐに雲の形を上手に描けるようにはなれませんが
配置を意識するだけ
ならすぐにでもできます

風景画やイラストの入門書だけでなく
写真の入門書でも
雲の配置や構図について書いてあるものもあります

興味があったら調べてみてください