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地面からの反射光を意識する

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アニメ背景会社に就職したばかりのころ

頭ではわかっているつもりでも
どういうことかよくわからない
ということの1つに

「地面からの反射光を入れる」
というものがありました

描けるようになってしまったら
グラデーションをかけるのが当たり前で
むしろグラデーションをかけないと
気持ち悪いんですが

描けていないころは
必要なグラデーションをかけずに
べた塗でも違和感を感じていませんでした

下の図を見て
違和感を感じますか?

問題

下の図①~③の電柱で1つだけ
グラデーションがかかっていない
ベタ塗りの電柱があります

どれかでしょうか?

他の2つは空と同様に
上下にグラデーションがかかっています

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答え

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背景のグラデーションを外してみると
わかりやすいかもしれません

②だけベタ塗り
上から下まで同じ色です

  • ①と②の上の部分は同じ
    (①は下の部分を明るくしています)
  • ②と③の下の部分は同じ
    ③は上の部分を暗くしています)

つまり①と③は
空のグラデーションと同様
下の方が明るくなっています

僕はアニメ背景新人時代に
電柱や柱、壁などを描くときに
②のようにベタ塗りをして

上から下まで同じ色にするな!
空にグラデーションが
かかってるんだから
電柱がベタ塗りじゃおかしいだろ!
地面からの反射光を意識して
電柱にもグラデーションをかけろ!

と注意されました

先輩方の描く電柱は
違和感なく周囲になじんでいたので
当時の僕にはベタ塗りに見えたんだと思います

でも実際は
グラデーションがかけてあった
というわけです

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①と③は空のグラデーションに合わせて
下を明るくしているので
上から下まで空に対しての存在感が変わりませんが
②は空に対して頭より
足元のコントラストが強くなってしまうので
足元の存在感が強く
なっています

意識的に電柱の足元を目立たせたいというのであれば
このように描いても問題ないと思いますが
もし以前の僕と同様に
気付いていなかったという人は
地面からの反射光を意識してください

もちろん地面からの反射光を考慮して
必ず下を明るく描かなければならない
ということではありません
絵として意図的に
電柱の上方を明るく描くこともありますし
空も太陽の方向を明るく描くこともあります

物理現象などを理解したうえで
意図的に絵として描く必要があるのです

おまけ

③に描き込みをして仕上げるときに意識していること

僕は質感を入れるときには
シルエットや立体感を強調する
ように入れています
ただ描き込んでいるわけではありません

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例えば上図のように
明るい面の質感を暗い色でキワに入れることで
シルエットを強調するだけでなく
円柱にハイライトが入って見える
ように入れます
全体的に描き込んでしまうと
ハイライトを入れるときに邪魔になりますし
ハイライトを入れるのを省略できなくなってしまいます

暗い部分に質感を入れるときは
明暗境界部を強調するようにいれます
キワに暗い質感を入れてしまうと
円柱の回り込みを感じることができなくなります

遠景の電柱を描くときに意識していること

十分遠い場合には陰影を省略します

陰影をつけてしまうと
遠くに感じなくなるからです

描きなれない頃は
手当たり次第に
立体的な陰影をつけてしまいがちですが
遠くの電柱は立体的に見えるでしょうか?

実際に立体的に見えていないものを
立体的に描く必要はありません

無意識に陰影表現をしているという人は
実際に遠くのものを見て
立体的に表現する必要があるかどうか
確認してみてください

まとめ

地面からの反射光と質感の入れ方の2つは
上手な人ほど自然に入れているので
意識しないと見逃してしまします

描いた人の「根拠」と「意図」を読み取るつもりで
上手い人の絵を見てみてください
つい真似してみたくなるテクニックに気付けると思います