この本を買うべきかどうか悩んでいる人向けに
難易度や内容についてまとめます
この本を一言でいうと
「中級者にとって
手元に置いておいた方がいい
辞書のような本」です
光と色については
これ1冊あれば十分だと思います
絵描きにとって色や光の知識は必要だが
厳密な理解は必要ない
これだけ知っておけば十分!
と書いてあるだけあって
絵描き視点で
絵描きにとって必要なことを
科学的根拠を示して丁寧に説明しています
しかし逆に言えば
この本に書いてあることは
なんとなくでもいいから
全部理解する必要があるだろうなというほど
重要な内容ばかりでした
この本は図解が多く
わかりやすくまとまっていますが
入門書としては少々難易度が高いかなと感じました
読んでみた感想としては
下のような感じです
- 初心者にとって
「理論」は全部理解するつもりで手元に置く道しるべとなる本 - 中級者~上級者にとって
なんとなく知ってるし使ってるけど
根拠までは知らなかったという知識の
根拠や答え合わせをするような本
この本の特徴
この本の特徴は
「理論」と「実践」の2部構成になっていて
おもにデジタルイラストを描く人に必要な知識を
無駄なくまとめている点です
![](http://www.gotonojisyuushitu.com/wp-content/uploads/2024/02/20240220色と光1-140.jpg)
上図のように
「デジタルイラスト」「絵具イラスト」「3DCG」に共通の
基本的な内容が解説されているので
それぞれの知識を結びつけるための橋渡しとしても
わかりやすい本だと思います
風景画に関しての本ばかり読んでいた僕にとって
「シェーディング」「肌の表現」「物体表面の反射」など
知ってはいたけど
わざわざ3DCGやキャライラストの本を買うほどでもないなと
思っていた内容がまとまっていたのはありがたかったです
逆にデジタルイラスト中心の人にとっては
絵具による混色の話はなじみがないと思うかもしれませんが
模写などで絵画表現を学ぶときに参考になると思います
それぞれの立場の人も
最低限理解しておいた方がいい内容なんだろうと思いました
「理論」のおもな内容
もくじとは違いますが
大雑把な内容は以下のようなものです
- 色、光
色相・明度・彩度、スペクトル、加法・減法混色など - 陰影
立体の陰影表現など - 物体表面の反射
物体表面の拡散・正反射・透過、光の屈折、表面化散乱など
どれも絵を描くときの根拠となる重要な内容を
シンプルに説明しているのでわかりやすいんですが
それを実際にどう使うのかという具体例が少ないため
初心者にとっては腑に落ちないかもしれません
「実践」のおもな内容
「実践」は下記のように
3人による実践的なメイキング解説で構成されていて
重複しない内容になっています
- 曇天 → 早朝、晴天、夕、雨へ「色替え」+加筆
- デジタルイラスト ラフ→白黒→カラー
- デジタルで色味ラフ → 透明水彩でイラスト制作
もし
この3つのバラバラの手法の知識を得ようと思ったら
何冊かの本を買わないと手に入らないでしょう
それくらい
一口にデジタルイラストと言っても
業種によって使う知識も技術もバラバラなので
1冊の本ですべてが無駄なくまとまっているのは
貴重だと思います
特に「色替え」の技術は
ゲームやアニメーションでよく使われている手法ですが
他にはあまり使う必要がないと思うので
知らない人は知らない技術かもしれません
下の絵を例にすると
早朝や晴天などに色替えする場合は
空は別に描き直しますが
空以外は色替えを中心に
コントラストや影色・ハイライトの色を調整し
最低限の加筆で終わらせるという方法です
![](http://www.gotonojisyuushitu.com/wp-content/uploads/2024/02/20240220色と光2.jpg)
ギャラリー
10人の作家のイラストと
こだわりや大切にしているポイントを解説しています
まったく違った作風なので
自分が目指す方向の作風を探る参考になると思います
まとめ
この本を1冊持っていれば
何冊も同じような内容の専門書を買って
知識を補完する必要がありません
色や光に関しては
これ1冊理解できれば十分だと思います
この本を読んで
理解しきれない部分に関して
自分に合った専門書を買い足していくといった
あしがかりにピッタリな本だと思います
ノウハウ本には
考え方の根拠までは書いていないものも少なくありません
深く理解して自分なりにアレンジするためには
根拠までたどり着く必要があります
中途半端な本を何冊も買うよりは
この本を辞書として手元に置いてはいかがでしょうか?