この本を買うべきかどうか悩んでいる人向けに
難易度や内容についてまとめます
この本を一言でいうと
「中級者にとって
手元に置いておいた方がいい
辞書のような本」です
光と色については
これ1冊あれば十分だと思います
絵描きにとって色や光の知識は必要だが
厳密な理解は必要ない
これだけ知っておけば十分!
と書いてあるだけあって
絵描き視点で
絵描きにとって必要なことを
科学的根拠を示して丁寧に説明しています
しかし逆に言えば
この本に書いてあることは
なんとなくでもいいから
全部理解する必要があるだろうなというほど
重要な内容ばかりでした
この本は図解が多く
わかりやすくまとまっていますが
入門書としては少々難易度が高いかなと感じました
読んでみた感想としては
下のような感じです
- 初心者にとって
「理論」は全部理解するつもりで手元に置く道しるべとなる本 - 中級者~上級者にとって
なんとなく知ってるし使ってるけど
根拠までは知らなかったという知識の
根拠や答え合わせをするような本
この本の特徴
この本の特徴は
「理論」と「実践」の2部構成になっていて
おもにデジタルイラストを描く人に必要な知識を
無駄なくまとめている点です
上図のように
「デジタルイラスト」「絵具イラスト」「3DCG」に共通の
基本的な内容が解説されているので
それぞれの知識を結びつけるための橋渡しとしても
わかりやすい本だと思います
風景画に関しての本ばかり読んでいた僕にとって
「シェーディング」「肌の表現」「物体表面の反射」など
知ってはいたけど
わざわざ3DCGやキャライラストの本を買うほどでもないなと
思っていた内容がまとまっていたのはありがたかったです
逆にデジタルイラスト中心の人にとっては
絵具による混色の話はなじみがないと思うかもしれませんが
模写などで絵画表現を学ぶときに参考になると思います
それぞれの立場の人も
最低限理解しておいた方がいい内容なんだろうと思いました
「理論」のおもな内容
もくじとは違いますが
大雑把な内容は以下のようなものです
- 色、光
色相・明度・彩度、スペクトル、加法・減法混色など - 陰影
立体の陰影表現など - 物体表面の反射
物体表面の拡散・正反射・透過、光の屈折、表面化散乱など
どれも絵を描くときの根拠となる重要な内容を
シンプルに説明しているのでわかりやすいんですが
それを実際にどう使うのかという具体例が少ないため
初心者にとっては腑に落ちないかもしれません
「実践」のおもな内容
「実践」は下記のように
3人による実践的なメイキング解説で構成されていて
重複しない内容になっています
- 曇天 → 早朝、晴天、夕、雨へ「色替え」+加筆
- デジタルイラスト ラフ→白黒→カラー
- デジタルで色味ラフ → 透明水彩でイラスト制作
もし
この3つのバラバラの手法の知識を得ようと思ったら
何冊かの本を買わないと手に入らないでしょう
それくらい
一口にデジタルイラストと言っても
業種によって使う知識も技術もバラバラなので
1冊の本ですべてが無駄なくまとまっているのは
貴重だと思います
特に「色替え」の技術は
ゲームやアニメーションでよく使われている手法ですが
他にはあまり使う必要がないと思うので
知らない人は知らない技術かもしれません
下の絵を例にすると
早朝や晴天などに色替えする場合は
空は別に描き直しますが
空以外は色替えを中心に
コントラストや影色・ハイライトの色を調整し
最低限の加筆で終わらせるという方法です
ギャラリー
10人の作家のイラストと
こだわりや大切にしているポイントを解説しています
まったく違った作風なので
自分が目指す方向の作風を探る参考になると思います
まとめ
この本を1冊持っていれば
何冊も同じような内容の専門書を買って
知識を補完する必要がありません
色や光に関しては
これ1冊理解できれば十分だと思います
この本を読んで
理解しきれない部分に関して
自分に合った専門書を買い足していくといった
あしがかりにピッタリな本だと思います
ノウハウ本には
考え方の根拠までは書いていないものも少なくありません
深く理解して自分なりにアレンジするためには
根拠までたどり着く必要があります
中途半端な本を何冊も買うよりは
この本を辞書として手元に置いてはいかがでしょうか?