この記事を読んでいる人の中には
以前の僕と同じように
木に苦手意識がある人は多いのではないでしょうか
![](http://www.gotonojisyuushitu.com/wp-content/uploads/2024/02/20230705木の失敗の歴史1-140.jpg)
僕がアニメ背景の仕事で木を最初に描いたときは
頑張ればガンバるほど上図のように
- 横並びになる
- 同じ大きさの丸になる
から抜け出せませんでした
なにをどう考えればいいか全くわからない状態です
今思えば完全に知識不足です
そんな僕が失敗を繰り返し
先輩に指摘されながら身に着けた
木を描くときに考えていることをまとめます
できるだけ経験した順にまとめていますので
初心者にとっては自身の経験と比較して
参考にしてもらえればと思います
また
「やってはいけないこと」「やっていること」を知るだけでも
一段上のレベルの木を描くヒントなると思いますので
図だけでも最後までご覧ください
幹や枝ぶりと葉のかたまりに一体感がない
![画像](https://assets.st-note.com/img/1693635656823-J7dMdkVzNt.jpg?width=800)
団子にならないように!ということを克服できて
多少、木の形になってきたころに 指摘されたのが失敗②です
葉のかたまりと幹の太さや枝の方向性がおかしいと言われました
失敗②の1番上の作例の幹も太すぎますよね
指摘されるまで全然気づきませんでした
この時はまだ葉のかたまりと幹の枝ぶりを
バラバラに考えていたのが原因です
枝が全部幹の奥に伸びている
枝ぶりや枝の太さばかりに気を取られた結果
いつも枝が幹の「奥方向」に伸びている
という失敗をしました
指摘を受けて
「奥方向」「横方向」「手前方向」に
枝が伸びた場合の影の付き方を考えて
単調にならないように描き分けました
![画像](https://assets.st-note.com/img/1693635690764-LLHN13s3I3.jpg?width=800)
枝の方向と光の向きの場合分け
![](http://www.gotonojisyuushitu.com/wp-content/uploads/2024/02/20230707枝ぶりと光の方向1-120.jpg)
上図のように
全方位の枝ぶりを場合分けすると
横方向、奥方向、手前方向になります
それぞれ左右あるので6パターンです
毎回同じことで頭を使うのも面倒なので
これらを順光(右から、左から)、逆光(右から、左から)の
4パターンすべてを試しました
![画像](https://assets.st-note.com/img/1693635778271-k4UUkpe2YO.jpg?width=800)
大変だと思うかもしれませんが
一度やってみると考え方がわかるので
本番で毎回悩む必要がなくなります
頭の体操にいかがでしょうか?
意外と楽しいですよ
幹と枝の太さでの失敗
質感や枝ぶりばかりに気を取られて
枝の太さがいい加減になってしまったときに指摘されました
![画像](https://assets.st-note.com/img/1693635811931-IwyGl15dXq.jpg?width=800)
![画像](https://assets.st-note.com/img/1693635846241-zle77ug5Sh.jpg?width=800)
![画像](https://assets.st-note.com/img/1693635863312-5yC0yVwioN.jpg?width=800)
街路樹や公園の木は枝を剪定されていたりするので
不自然な枝の太さのものもあるようです
自分の描く木の幹や枝の太さに自信がないという人は
慣れるまでのあいだ参考にしてみてはいかがでしょうか
以下は参考にしたページのリンクです
枝分かれの枝の太さは三角定規で決めよう!
https://www2.kpu.ac.jp/for_ecol/Branching_ver120607.pdf
枝の前後関係を説明する明暗表現
![画像](https://assets.st-note.com/img/1693636104465-g05VWAPy5H.jpg?width=800)
円柱の影の付き方の違いで
前後左右方向の傾きの違いを表現します
![画像](https://assets.st-note.com/img/1693636147618-GAndpfCacl.jpg?width=800)
![画像](https://assets.st-note.com/img/1693636167796-G5lzDyv8dq.jpg?width=800)
真上からの光の場合
・奥へ行く枝 →順光
・手前に来る枝→逆光
になるので影の面積が変わります
言われてみれば当たり前なんですが
いざ描かなきゃいけなくなるとなかなか描けませんし
意外と思いつきません
実物だけでなく
上手いアニメ背景も見てみてください
しっかりと表現していると思います
幹や枝に面白みを加える工夫
![画像](https://assets.st-note.com/img/1693636183887-Vd4SLCzEZh.jpg?width=800)
ズドンとした鉄パイプみたいだと
先輩に注意されたことがありました
まっすぐに見える枝や幹も
ねじれていたり角度が変化していたりします
それを利用して鉄パイプのように
単調で直線的にならないように工夫します
枝や幹を角柱や円柱として考えるのがコツです
木の幹の表現の失敗
![画像](https://assets.st-note.com/img/1693636241145-fMScC2nkka.jpg?width=800)
上図の黒枠を画面だと思ってください
上の方の作例は円柱の一部分だとわかるでしょうか?
断面が見えなくても
どんな立体かわかるように工夫しています
もちろん実際の木は
このようにわかりやすい凸凹はありませんが
意識的にわかりやすいように描いています
枝先は上を向いている
![画像](https://assets.st-note.com/img/1693636255036-MKxwKiazei.jpg?width=800)
重みで下にさがってる枝でも
枝先は上を向いてるもんだと指摘されて以来
枝先は上を向くように描いています
自撮りはアニメーターだけじゃない
![画像](https://assets.st-note.com/img/1693636266116-2U1kh16dnc.jpg?width=800)
複雑な枝ぶりを描くときは
自分の手を参考にしたりします
手前にグッと来たり
奥にスーっと行ったり
クネッといった複雑な形は
ちょうどいい参考が都合よく手元にあるとは限らないんで
自分の手を見て形や影の付き方のイメージを模索します
木の軒下の部分が単調になりがち
![画像](https://assets.st-note.com/img/1693636291992-OBE0RtAI8z.jpg?width=800)
このクセはなかなか直せませんでした
「直線にならないように」じゃなくて
「軒下の部分の形を面白くする」って考え方をしはじめたら
いつのまにか直線になっていることが少なくなった気がします
幹と幹の間隔は?
![画像](https://assets.st-note.com/img/1693636317723-Zn2Lpr0rnQ.jpg?width=800)
木の葉のかたまりと幹や枝の太さに
一体感が出せるようになったころ
木と木がくっつきすぎだと注意されました
木と木の距離感はどれくらいのつもりで描いているんだ?と
そこで木と木の距離を観察したり
簡単な測量みたいなことを始めました
だからといって
上手く描けるようになるわけではありませんが
絵を空間として捉えるクセがついたので
やって良かったなと思ってます
![画像](https://assets.st-note.com/img/1693636503682-kFMobmNmKE.jpg?width=800)
自然の森の木と木の距離はバラバラでしょうが
街路樹や公園などの管理された所では
木の種類によって大体の間隔が決まっているようです
![画像](https://assets.st-note.com/img/1693636871195-SmOkgHpKwN.jpg?width=800)
木のほかにも
窓の大きさや部屋の広さってどれくらい?とか
自分の肩幅や歩幅などを使って大雑把に測ってました
キャラの大きさに対して
どれくらいの大きさなら自然に見えるのか
といったことがリアリティーにつながると思うので
色々なものを自分の体との対比で覚えることで
描くときにも説得力を持って描くことができるようになります
![画像](https://assets.st-note.com/img/1693636358685-g7aI0hZHzV.jpg?width=800)
初心者におすすめの木の練習方法は
人によって微妙に考え方や描き方が違うので
できれば同じ人が描いた木を
(画集やアニメ作品を1つに絞るなど)
遠景から近景の順に模写することです
遠景の方が省略されている分
情報量が少ないので理解しやすいと思います
最初から近景の木を模写しても
情報量が多くて理解しにくいので
シンプルな遠景から
色やタッチの意味を考えながら模写することで
少しずつ理解できるものを増やしていく方が良いでしょう
まとめ
木が上手く描けない原因は知識不足かもしれません
当たり前のように木を描いている人が
当たり前のように考えていること、気を付けていることを
知らないだけかもしれません
このまとめがきっかけで木に興味を持ったり
実際に手を動かしてもらえると嬉しいです