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歴史的名画の色使いが色相環の歴史とともにわかる本!「配色の教科書」

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絵を描くときに
「これさえわかれば
もっと速く描けるのに!」といった
具体的な疑問って
ありませんか?

僕は背景会社就職当時の2005年頃から

  • 影って何色なのか?
  • 画家は何を根拠にどんな色を使って
    混色をしているのか?

ということが知りたくて仕方ありませんでした
それさえわかれば
どんな状況でも光と影の色に悩まずにすめば
もっと短時間で絵が描ける
と思っていたからです

それくらい
手探りでしっくりくる影色を探していました

そんな画家の光と影の考え方や
混色、パレットについて知りたかった
僕にとって
この本は一言でいうと

「歴史的名画の色使いの根拠が
色相環の歴史とともにわかる本」
です

 

配色の教科書
歴史上の学者・アーティストに学ぶ「美しい配色」のしくみ
色彩文化研究会 (著) 城 一夫 (監修)

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この本は
ニュートンがプリズムを使って
太陽光を虹の七色に分光した実験から始まり

多くの色相環と色彩理論の歴史と
それらに影響を受けた画家が
どのような作風の絵を描いたのか

わかりやすくまとめられています

特にビレンのカラー・トライアングルを使った
名画の調和の分類の図のおかげで
名画を観たときに
画家が明るい色、暗い色を使うときは
色相環のこの辺の色を使っているんだろうな
と推測できるようになりました

デジタル、絵具に関わらず
絵を描いている人なら
色相環や等色相三角形などから
色を選ぶヒントが見つかるかもしれません

ここから先は本の内容について
特に僕が知りたかった2つのことについてまとめます

  • 影って何色なのか?
  • 画家は何を根拠に何色を使って混色をしているのか?

 

書いてあった大きなヒントは次の2つです

  • ドラクロワの光と影の関係を示す色彩三角形
  • ビレンのカラー・トライアングルによる名画の調和傾向

詳しく説明します

ドラクロワの色彩三角形

ドラクロワの色彩三角形

仕事で背景を描くときには
基本的には見本があるので
光や影の色で悩む必要はありません

しかし
スケッチや自分の作品となると
そうはいきません

しっかり光と影、色について
理解したうえで使いこなす必要があります

「影色は光色の補色」「影色は固有色の暗い色」「色温度」など
根拠が理解できていなくても
使いこなせる人もいると思いますが
僕は根拠がわからないと納得できない性格なので
長い間、納得できないまま描いてきました
いまだに理解しきれていない部分が多く
疑問が残っている状態です

特に光と色のついては
僕の新人時代はインターネットも普及していなかったので
水彩画や混色などの本を多く読みましたが
これが知りたかった!というものには出会えませんでした

「影色は光色の補色」って
聞いたことあるけど本当なの?
誰が言い出したの?根拠は?

この疑問のヒント
やっとこの本で見つけました
それが下の図です

画像

シュヴルールの色彩理論の影響を受けたドラクロワ
実験によって
一つの物体で赤い光の影は緑、黄の影は紫、青の影は橙という
理論に至ったそうです
(これは偶然、ゲーテの色彩理論と同じ発見だそうです)

この本では
これ以上詳しく書いてありませんでしたが
キーワードがわかっただけでも大収穫です
(これで調べることが可能になりました)

しかも
今まで断片的だった2つの知識が
結び付きました

どういうことかというと

  • 三角色環
  • 光色と影色の実験

根拠や元ネタがわからないまま使っていた上記の2つの知識が
どうやらシュヴルール、ゲーテ、ドラクロワを調べれば
詳しくわかりそうだとわかったんです

三角色環

僕はアニメ背景3年目くらいに見つけた
三角色環を使って光と影の色を考えてきましたが
この三角色環の元ネタがわからないままでした

画像

残念ながら上記の本は絶版で
同著者の本もいくつか見てみましたが
上記の本以外では三角色環に触れていませんでした

ドラクロワの色彩三角形に似ています
このことについて調べれば
今までの僕の光と影の色の考え方が
一段レベルアップできるんじゃないかと思っています

光色と影色の実験

他にも繋がったものがあります
光色と影色の確認のために
2021年の3月にやった下の実験は
どうやらゲーテの観察に似ているようです

画像
画像

緑色光の影は赤紫っぽく
紫色光の影は黄っぽく
青色光の影は赤っぽく見えます

写真ではわかりにくいですが
肉眼ではもう少し彩度が高く見えました

単純な実験ではありますが
実際にやってみると
わかること、わからないことが
頭の中をぐるぐる駆け巡るので
自分の理解を確認することができます

ぜひ自分でやってみてください
百聞は一見に如かずです

 

色相環についての本を読んだって
絵を描く役には立たないだろうと思っていましたが
この本のおかげで
バラバラだった知識が結びつき始めました
あとは手に入れたキーワードをもとに調べていくだけです

ちなみにグーグルで
ドラクロワ 色彩三角形 光 色
でキーワード検索しても
僕が知りたいことについての記事は
見つかりませんでした

地道に本屋で探すのが早いようです

これを機にチャットGPTで検索スキルを
覚えてみるのもいいかもしれません

ビレンのカラー・トライアングル

ビレンのカラー・トライアングル

画家の光と影の考え方や
混色、パレットについて知りたかった僕にとって
重要な、もうひとつの情報は下の図です

特に知りたかった4つしか書いていませんが
全部で8つの調和を
「白」「黒」「純色」の混色からなるトライアングルを使って
説明するというものです

画像

②は「純色」に「白」を加えた混色
③は「純色」に「黒」を加えた混色
④は彩度が一定の明暗

を中心とした色使いです

これは名画を見るときに
「明るい色を作るときに固有色に白を加える」
「暗い色を作るときは黒を加える」という
混色の大きなヒントになります

これは絵具に限った話ではありません
明度や彩度、色相の関係性を理解していれば
デジタルでも色相環や数値入力で
固有色にたいして
明るい色、暗い色を選ぶヒントになります

「白」「黒」「緑」のスケッチと色調査

なぜカラー・トライアングルの情報が
ありがたかったかというと
ちょうど、ここ半年くらい
デジタルでの色選びを学ぶために
下のように絵具をスキャンして
スポイトで色の分布を調べていたからです

画像

緑色の画用紙を
「白」「黒」「緑」でスケッチして
色を調査

画像
画像

このような地味な実験を
繰り返している最中だったので
カラー・トライアングルの
②は「純色」に「白」を加えた混色
③は「純色」に「黒」を加えた混色
④は彩度が一定の明暗
といった名画の色使いが
「あっそういうことか!」と
絵具、デジタルの両方から理解するための
大きなヒントになりました

まとめ

体系的に学ぶ方法の1つに
「歴史順に流れをつかむ」という方法があるようです

この本を読むまで
色相環や色立体など
いくつもある意味が全くわかりませんでしたが
この本のおかげで
色相環と名画の必然性ともいえる
大きな流れを理解することができました

この本は各研究者や画家について7~8ページ程度で
わかりやすくまとめられているので
専門的な部分には踏み込んでいないだろうと思います

しかし僕にとっては
一番知りたかったことがピンポイントでまとまっていたので
とても重要な情報の宝庫でした

残念ながら
配色や調和といった部分に関しては
まったく理解できませんでしたが
絵描きにとっては
絵画の歴史、色使いの歴史を広く浅く学ぶには
ピッタリの本だと思います

色について苦手意識があるひとも
より深く色について学びたい人も
一度読んでみてはいかがでしょか?

名画の見方、色使いのヒント、画家の思想やこだわりなどを知れば
自身の創作の役に立つと思います

 

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