絵を描くときに絵具の知識って必要だと思いますか?
あくまでも僕個人の感想ですが
僕はこの本を読んで
なんとなくですが紙の上での絵具の挙動が
イメージできるようになった気がして
描きやすくなりました
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もし水彩画で伸び悩みなどで
何かしらのヒントを探している人がいたら
この本を読めばヒントが見つかるかもしれません
この本の特徴
絵具の歴史からラベルの読み方、材料
筆、紙、技法など幅広い情報満載です
この本は画家と絵具メーカーの技術者の
対談形式で読みやすいだけでなく
途中で話が脱線するあたりは2人とも本当に画材が好きなんだなと
いう雰囲気が伝わってきて
自分でも色々と試してみたいと思わせてくれます
読んだきっかけ
僕は18年近くアニメの背景をポスターカラーで描いていましたが
「絵の具は顔料とノリでできている」
くらいの知識しかありませんでした
特に今までは不便を感じなかったんですが
絵を基本から学びなおすにあたって
混色についてまとめていたらすぐに限界がやってきました
下図のように
ポスターカラーで塗った色をスキャンして
フォトショップのスポイトツールで明度や彩度について調べていたところ
混色すると彩度が落ちるはずなのに
彩度が一定の場合があるといった具合に
今の知識だけではどうにもならなくなったんです
厳密なデータが取れるとは思っていませんでしたが
中途半端な理解とデータのまま進めても
自己満足にすらならないよなと思っていました
そんな時に立ち寄った本屋で見つけたのが
この本です
具体的な本の内容について
紙の染み込みと発色について
この本は中学の理科や高校の化学で習った内容も少し出てきますが
基本的には専門用語などの知識がなくても
読むことができる内容です
(表面張力や界面活性剤、光の屈折は高校の時に習ったんだったかな?)
例えば、界面活性剤を入れることで
・凝集しやすい顔料を分散させる
・表面張力を下げて紙に染み込みやすくする
などの効果があるといったことが書いてあります
(ぼくにとって一番難しかったのは、この辺でした
完全には理解できなくても、体験上何となくイメージできる
ことがほとんです)
具体的には、紙の表面に顔料が残る状態が一番彩度が高くなるので
紙に染み込みすぎても発色が悪くなる
という内容を知って、なるほどねーとなりました
その結果、今までは特に何も考えずに描いていましたが、筆を使って紙の表面に適切に顔料を定着させるという意識に変わりました
また、紙と絵具についても、絵の具の水分量とか絵具をはじきやすい紙かどうかしか考えていなかったんですが
紙が絵具をはじく原因が絵具にあるのか紙にあるのか
場合分けをして考えることができるようになったのは大きいです
紙選びの基準に、にじみやすさ、染み込みやすさと発色の良さといった
観点が増えました
顔料の大きさについて
絵具については
顔料とノリでできているとは思っていたんですが
顔料の大きさについては考えたこともありませんでした
具体的には上図のような感じでしょうか
2種類の大きさの異なる顔料があった場合
水分が少ないと小さい顔料が大きい顔料の影に隠れて
見えなくなる部分があるというんです
つまり、水分量を増やすと黄色の粒子の見える部分が増えていくので
黄色っぽくなっていくというわけです
これは完全に盲点でした
考えたこともありませんでしたね
また、同じ顔料でも粒子の大きさの違いによって
色味が赤っぽくなったり、黄色っぽくなったりする
顔料もあるとのことでした
そんな微妙な違いで色が変わるなんて
知りませんでした
顔料の粒子も均一にするのは難しいでしょうから
スポイトで拾う場所によって数値に誤差が出るのは
当たり前ですよね
このことを知って
同じようにスポイトを使って色を調べるにしても
どの程度データを重要視するのか
得たデータから何を考えることができるのか
考えやすくなりました
自分が欲しい基準がしっかりしてきたんだと思います
混色について
基礎から絵を学びなおすにあたり
混色について調べていたんですが
水彩画の入門書を何冊見ても
これが正解みたいな混色の根拠となる
わかりやすい方法が書いってある本が見つかりませんでした
色相環、明度、彩度を対応させるような
絵具と混色の方法や考え方を探していたんです
ところが、この本には
混色は本当に難しく
厳密には絵具で色相環を再現できないらしいこと
(色相環上の補色と言われる絵具を混ぜても
無彩色のグレーになるとは限らない)
が書いてありました
どおりで
どんな水彩画の本を読んでも明言されていないんだな
と納得しました
まとめ
染み込みやすい絵具は水筆でふき取っても取れにくいという性質は
はみ出さないように気を付けなければいけない反面
重ね塗りしても下地としてしっかり色が残るといった
考えてみれば当たり前のことが
しっかり科学的な根拠から説明されていて
バラバラだった知識がしっかり頭の中で結びつきました
透明水彩の透明性や顔料番号、グラニュレーション、ステイン色など
透明水彩のラベルに書いてある情報の意味を理解することで
技法の効果を最大限発揮できるんだと理解できました
今回まとめた内容は本のごく一部です
自分の技術をしっかり言語化できていない方は
もしかしたら、あと1歩踏み込みが足りないのかもしれません
どうせ知識が増えても絵は上手くならないとか
もう知ってるからと慢心せずに
この本を読むことで
足りていなかった知識を補完してみてはいかがでしょうか?
何となく使っていた技術を
根拠を持った技術にすることができる可能性があります
きっと自分の絵や技術に自信を持たせてくれるに違いありません
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