画用紙の中に
手を突っ込みたくなるような絵を描け!!
紙の中に空間を作れ
アニメ背景新人時代に
社長から言われた言葉です
言われたときは理解できませんでしたが
3年目くらいには背景を描くときに
画用紙の中に手を突っ込んでいる感覚になりました
不思議な感覚なんですが
絵を描いているというよりも
絵の中の空間で
描いている対象の表面を
筆や手でなでてる感覚です
塗りムラや筆跡も質感に見えるように
平面や曲面に沿って筆を動かしていたことが
大きな理由だと思います
また
スゴい背景は遠近感の表現が上手くて
画面の奥の方に
吸い込まれるんじゃないかってくらい
空間を感じます
キャラが画面内をどこまででも
奥に進んで行けそうだったり
木や家の裏に回り込めるんじゃないか
と思うほど自然な空間が表現されています
そんな背景を見ると
紙面に手を突っ込んでみたくなります
アニメの背景は
他の絵画やまんが、イラストと違って
キャラが画面内を動き回るので
特に空間表現が重要になります
奥のものを、しっかり奥に
手前のものを、しっかり手前に表現することができれば
手を突っ込みたくなるような
説得力のある空間が
作れるようになるんだろうなと
分かっていても
そう簡単にできるものではありません
実物の背景だけでなく
美術館などで絵画を見るときも
やはり
手を突っ込みたくなるかどうか
というのが
僕にとって上手いかどうかの
評価基準の1つです
僕とは違う背景会社の人と話したときも
「手を突っ込みたくなる」
という表現を使っていました
もしかしたら
背景描きには
よく使われる言葉なのかもしれません
自分の絵を見るときに
紙面に手を突っ込みたくなるかどうか
考えてみてください
もしかしたら
新しい評価基準になるかもしれません