アニメ背景の基礎 PR

本棚を描くときに考えていること

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いい絵、面白い絵というのは
見た瞬間に惹きつけられ
じっくり見るうちに
あっ、こんなものまで描いてある!といった発見をするのが
面白さの一つだと思います

しかし
ずっと見ていられる絵画やイラストと違って
アニメの背景は1枚当たり2.5秒~3秒くらいしか映りませんので
パッと見た瞬間に何が描いてあるのか理解できる必要があります

そのため
「現実そのまま」よりも「それっぽさ」を優先させて
短時間で理解できるように工夫したりしています

この記事では僕が
本棚を「本棚っぽく」描くために
気を付けていることをまとめます

本に影が落ちないように工夫する

下図では左右のどちらが
見た瞬間に本棚としてわかりやすいでしょうか?

右側の図の方が本の大小がわかりやすく
パッと見て色々な本があるという印象を持つのではないでしょうか

おそらく本の上部が影中に入ってしまったことで
本と本棚との境界がわかりにくくなり
本の大小による変化が伝わりにくくなったからだと思います

しかし本を影中に入れることが悪いとは限りません

本が光中のメリット・デメリット

メリット

  • 労力が少なく描きやすい(早く描ける)
  • 見やすい(わかりやすい)
  • 本の大小で変化をつけやすい

デメリット

  • わかりやすい反面、長い時間見ていると飽きてしまう

本の上部が陰中のメリット

メリット

  • 影で本と本棚に一体感がでる
  • わかりにくい反面、情報量が増えるので長く見ていられる

デメリット

  • 絵具で描く場合、労力がかなり増える
  • 本と本棚の境界がわかりにくくなるため
    本の大小での変化が伝わりにくいため本の厚み、傾斜など他の要素を使って
    画面が単調にならないように変化を付ける必要がある

 

本の上部に光があたっていた方が
見やすく、早く描けるので
僕が本棚を描く場合は本が陰中に入らないようにデザインを工夫します

しかし
ゲーム背景やイラストなど長時間見る場合は
本の上部を影中に入れるなどして
長期間見ていても飽きないような工夫をする必要があるかもしれません

本棚の上下で落ち陰の角度が違う

照明の位置によって
下図のように本棚の上部と下部では
天板によって落ちる影の角度がかなり違う場合があります

現実のまま描いてしまうと
下図の左のように
下段に行くにしたがって本の頭の部分が
影中に入ってきます

デジタル作画であれば
光があたっている色で描いた後
簡単に部分的に影色に変更できるかもしれませんが
絵具で描く場合は
そう簡単にはいきません

画面内に光源と本棚の両方を描かなければいけない
などの例外を除いて
僕は上図の右側のように
本が影中に入らないように描きます

光の向きと本棚の陰影

本棚を描く場合に影も重要な要素になります

下図のように本棚が右側を向いている場合
光の向きが左からの場合は順光
右からの場合は逆光気味になり
影の付き方が全然違います

上図の右側の半逆光の方がシンプルな陰影表現にり
大きな本の陰中に隣の本を入れることで面白味を出しやすなるので
描きやすく見やすい絵になります

上図の左側の順光の方は
半逆光ほど陰影がシンプルにならず手間がかかります

本の配色について

3色を3角に配置する

人間は3つまでなら瞬時にいくつか認識できますが
4つや5つになると急に数えてしまい
認識に時間がかかるそうです

複雑にしようとして
むやみに色数を増やしていまうと
必要以上に描くのが大変になるだけでなく
見づらい画面になってしまう可能性があります

そこで僕は
特に頭を使わなくても多くの色があるように見せるために
3色を3角に配置してから複雑にしていきます

単調にならないように

  • 「疎」「密」
  • 「厚」「薄」
  • 「大」「小」

を意識してランダムに見えるように配置していきます

物足りなかったら
最後に隠し味程度に色数を増やします

子供向けアニメやイラストでは本棚やおもちゃ箱、洋服など
色が多く使われているように感じるものであっても
意外と3色くらいだったりします
色数を増やしすぎると上手くまとめる方が大変になるからかもしれません

作例

本棚に角度が付いたり
両側が本棚になっても考え方は同じです

本の模様の注意点

模様が目立つように
地の色が暗い本には明るい模様
地の色が明るい本には暗い模様を入れます

模様を入れる位置によって
本のシルエットがわかりやすくなったり曖昧になったりするので注意します

明るい本の上部に暗い模様を入れると
本のシルエットが曖昧になりますし
明るい上部を残して少し下に模様を入れると
本のシルエットは明確なままです

曖昧なのが全て悪いわけじゃありません
シルエットを説明しすぎると
ガチガチで窮屈になります
あえて曖昧なものを混ぜると自然な感じにすることもできます

「本の存在感」<「本棚の存在感」

最後に
描き慣れないうちは
つい一冊、一冊がんばって描いていまいがちですが
本棚それ自体の存在感の方が強くなくてはいけません

本の質感や陰影なども重要ですが
本は、あくまでも本棚の一部分でしかありません

経験が浅かった僕は必要以上に本を頑張って描いていたんでしょう
「本棚の本なんてのは
本棚の模様みたいなものだと考えるくらいでちょうどいい」
と大先輩に言われたような気がします

まとめ

僕は本棚を描く場合は単調にならないように以下に気を付けて
変化を付けています

  • 「疎」「密」(同じ色の本が並んでいる、離れている)
  • 「厚」「薄」
  • 「大」「小」
  • 傾き

これらに注意して

何をどう描けば本棚っぽく見えるのか?

まずは写真を参考にしたり自分の本棚を見ながら
本棚全体を凸凹した白い角柱と考えてグレーで描いてみてはどうでしょうか

フルカラーで描く前に
白黒の3~5階調で描くと
頭の中が整理できると思います